むめい

音楽、映画、小説、スポーツ、ノルウェーのこと、とか。

26 『ALBUM OF THE YEAR 2020』

 ノートパソコンがお釈迦になり、スマホから投稿しております。
内容は表題のとおり。
インスタに投稿しようと思っていたのですが、字数制限で投稿できず。ここに埋葬します。
では!

Mac Miller 『Circles』
HAIM『Women in Music Pt. III』
Tame Impala『The Slow Rush』
GEZAN 『狂』
Yves Tumor 『Heaven To A Tortured Mind』
藤井風『HELP EVER HURT NEVER』 
青葉市子 『アダンの風』
羊文学 『POWERS』
Ambrose Akinmusire『On The Tender Spot Of Every Calloused Moment』

以下感想。





Mac Miller 『Circles』
新型コロナウイルスが流行し、人々は踊る場所を失いました。それゆえ、今年のシーンはフォークやアンビエントといった柔らかな音に対する評価が高かったかと。
それを予感したかのように、Mac Millerはコロナ以前の1月に、内省的でヒーリング的なアルバムを提示しました。これが遺作となってしまいましたが、正に2020年的な空気を持つアルバムでした。

HAIM『Women in Music Pt. III』
今年は女性の年だった、といっても過言ではないくらい女性アーティストがシーンの一線で活躍したと思います。phoebe bridgers, Laura Marling, yaeji etc...
HAIMはその露骨とも思えるタイトルから女性が音楽をするということ、ロックの世界にいること、というのはどういうことなのか?ということを伝えてくれます。挑戦というより現実の報告。そしてそれは素晴らしい歴史への道標。

Tame Impala『The Slow Rush』
サイケの再評価を確実にした一枚。散々話題になっていましたが、話題を全く裏切らない出来で、何回も聞き直す気持ちよさがあります。このアルバムでは「距離」を感じることができると思っています。
ある種ラジオ的とも思える響きになったり、耳元での快感を得られたり、と。
日本ではWool in the pantsがこれに近い雰囲気でした。

GEZAN 『狂』
東京を中心にした日本は、AKIRAでの引用を用いれば、「熟しすぎて腐りかけた街」なのかもしれません。GEZANはそんな我々に目覚めよと呼びかけます。宗教と学生運動の間にあるような異様な熱が私たちの胸をざわつかせる。カロリーを消費するアルバムですので、正直何回も聞いたアルバムではありません。問いかけになにを思いますか。

Yves Tumor 『Heaven To A Tortured Mind』
プリンスやボウイのような特定の性別を感じさせないような音楽家の系譜をYves Tumorには見てしまいます。しかし、Yves Tumor をジェンダーレスといったふうに捉えるのにも違和感があります。何故なら、ジェンダーレスはジェンダーを基盤にしますが、Yves Tumorはある種それを超越し、宇宙生物的なものすら感じさせるからです。新たな性別を指し示すかのよう。
アルバムとしては、新たなゴスペルというタイトルながら、妖しく、重い。そして美しいサウンドに彩られた一枚。今年のベストアルバムです。

藤井風『HELP EVER HURT NEVER』
「カバーの上手いYouTuber」だった藤井風は、今年日本の音楽界にまさしく新しい風を吹き込みました。
近年は、いわゆる「グッドミュージック」が日本でも流行してきて、強度のあるポップスが多く作られてきたかと思います。しかしまだ大衆に届ききらない歯がゆさも同時に感じているのではないでしょうか。
藤井風は大衆に届けられるだけのスター性を持っていると思います。新しさと懐かしさを併せ持つ音楽で。
それは、宇多田ヒカル椎名林檎のような…。

青葉市子 『アダンの風』
年の瀬に発表された青葉市子の新譜をベストアルバム入れなかった!という後悔をされている方も多いのではないでしょうか。
南国というテーマを真冬に持ってくることに違和感を覚えないほど、このアルバムは様々な視点で捉えることを可能にします。
私は、このアルバムはマクロスゼロの雰囲気が多分にある音楽だと思っているので、是非ともマクロスゼロのリメイク(劇場版化など)があれば、音楽は青葉市子に依頼するべきだと思います。

羊文学『POWERS』
羊文学のメジャーデビューアルバム。昨今、世界的に見ると、メジャーとインディーズの差異はほとんどなくなってきており、メジャーデビューだからなんなんだ?という気持ちがリスナーにもあるかと思います。
とはいえ、このアルバムには文字通りメジャーになるための粒が沢山入っています。
先述の藤井風のように、塩塚モエカにもかなりのスター性があります。
どうかレーベル色に染まりすぎず、繊細かつ心を離さない音楽を見せてほしいです…。

Ambrose Akinmusire『On The Tender Spot Of Every Calloused Moment』
この9枚の中で、一番緊張感のあるアルバム。ピンと張り詰めた糸のような演奏。
静謐という言葉が相応しい、美しい一枚。