むめい

音楽、映画、小説、スポーツ、ノルウェーのこと、とか。

5 「日本人」という幻想

 今、日本の外国人の数ってどれくらいだと思いますか?

 私は、大体50万人くらいかな、と考えてました。

 実はそんなもんではありません。数にして約230万人が「外国人」です。多いと思いますか?移民って別にもう珍しい概念でもなんでもなくて、現在進行形の事象。東京の約3.6%は外国人ですしね。

 日本人ってどういうイメージでしょうか。日本は単一民族国家だから、と移民受け入れの論がテレビでなされると多くの人が言いますが、これはさすがに違う、と言わざるを得ない。古来から中国、韓国、時には東南アジアと交易している国ですし、そうなると、混血は極めて当たり前のことと考えられます。特に韓国、中国系ルーツを持つ人間は特定しきれるか怪しいところ。

 

 現在、30~50人に1人は混血だと言われています。大体クラスに1人は「ハーフ」(あえてここではmixedではなくハーフを使います)なのです。国籍の上では、日本人であり外国人。そして、彼、彼女らはそんな時代でもいまだにそのアイデンティティに関して「純日本人」から悪意の無い質問を向けられるのです。例えばどっちの国が好き?とか、どっちが地元なの、とか。勿論純粋な知的好奇心でしょう。しかしそれを問われる度に彼、彼女らはアウトサイダー、としての認識を持ち続けなければならないのです。同じ時間、同じ環境に過ごしているのに。こういう日本人、だけどそうじゃないのかもって思わせてしまうのはなんというか、やるせない。(ちなみに、本当に日本以外の国で過ごしている人も多くいますが、彼、彼女らだってそれを聞かれたいか、っていうとノーが多いかも。)

 

 私は私のアイデンティティを日本人として一応認識していますが、もしかしたらそうじゃないかもしれない。「たまたま」、私の学部にはそういう「ハーフ」だとかパスポートが違う人が多くいます。でもたまたま、じゃないかもしれません。珍しいと思わされてるだけの可能性の方もある。でも、私はそれが日本のリアルに近いと思う。

 

 だから、もし「違った」アイデンティティを持ってる人がいてもそこばっかり聞くんじゃなくて、もっと普通な、好きな本はなに?、とか聞くといいんじゃないかな。そこにもしかしたら彼、彼女らのアイデンティティが表出するかもしれないし、しないかもしれない。

 

 結局、同じ人間ですし。